2007/04/25(水)
Seconlife(セカンドライフ以下SL)においての記事を書いたついでにSL内においての不動産業はレンタルサーバの様なビジネスになるかを検証してみました。これはアイランドと呼ばれる独立した島(1台のサーバー)を買いきった計算に基づいています。ドル建て決済しか現在提供されていませんので仮に1$を120円で計算しています。
- アイランドの取得原価200.000円/広さ64000u(16エーカー)=3.125円/u
- 個人向けの一般的な平均貸し出し面積と価格=784uで月額1500円程度(20円/u)
上記の様に書くとすごい低い原価率に見えます。64000hu÷784u=81人分 1500円で貸し出すと121500円の家賃収入となる計算になります。これなら二ヶ月で元が取れそうじゃないでしょうか?いえ、取れません。最初から予約が無いとなりませんし、全ての土地を均等に切り売りしてしまうことも難しいからです。ここで日本のSLにおけるレンタル業と海外におけるレンタル業の違いを書きます。日本ではアイランドの中心部を都心と考え地価が高い傾向があり、海外ではウォーターフロントが高い傾向があります。ビジネスの拠点とみることが多い日本の見方と自分の家という感覚の違いがあるのかも知れません。建物の傾向も海外はリアル空間志向が多く、日本はオープンスペース志向です。実際の建物に近づけるのではなく、SLならではの便宜性を優先させたものが多いように感じます。これは日本人のビルダーのレベル、ビルダーが少ないことも影響しているかも知れません。(建物データを買うこともできるので違うような気もします)
- パブリックスペースを演出することでアイランド内でのデータ処理を軽くする。借りる人の土地のプリム数(3Dデータ量)に余裕を持たせる必要がある。適切なのは土地総面積の80%〜65%であると思われる。道路や公園などの共用スペースの問題。そして土地の造成上どうしても貸せない場所や海側等の人気のある場所はもう少し高く貸せる可能性もあります。
- 70%を貸し出せるとすれば1uの原価は4.46円。修正後原価率は20円/uに対して約5円とすると25%となります。
上記の計算は土地の取得単価に対して月額のレンタル料金をあてはめて何ヶ月で回収するかという見方に基づいています、回転率とSIMオーナーに毎月かかるメンテナンス料金も無視していますから本当はおかしく実はこういう計算はするだけ無駄なのです。ではもっと現実的な考え方をしてみましょう。前述しませんでしたがリンデンラボ社にアイランドのオーナーは毎月$295(約39000円)を支払う必要があります。アイランドの取得原価200.000円をサーバーの設定料金と考えると運営維持コストは毎月39.000円だけです。(為替変動リスクを踏まえて高く計算しています)不動産業として考えるのでは無く、アイランドの価値自体は不変、もしくは将来値上がりすると考えるか最悪割引して売却しSIMごと名義変更するか人それぞれ、時と場合によってですが アイランドの取得原価200.000円はとりあえず、将来的に織り込むとして39.000円の維持費を原価と考えるとどうなるでしょう。
- 月額39.000円(アイランドの維持費)÷64000uX0.7(70%貸し出し)=0.87円/u(月額維持費に基づく一ヶ月の仕入原価)
- 0.87円uX784u(個人向け貸出面積)= 682円
- 月額1500円で貸し出した時の原価率=45%
- アイランド全体の70%を貸し出せるスペースの限界と考えると収容できるのは57契約。
- 1500円X57契約=85500円(売り上げ)
- 85500円-39000円=46000円(月間利益)
- 損益分岐は39.000円÷1.500円の場合26契約
レンタル型の不動産業だけで利益を出そうとするなら、個人でも10アイランドほど運営することが必要でしょう。よほど大規模に土地を取得し、一気に多数の契約を取らなければなかなかうまくいかないと思います。また借り手同士が隣接するので変な人、建物が存在すると契約されなくなります。逆説的に考えればアイランドを占有して、たった39.000円の維持費で話題をつくれるなら企業にすれば安いものです。だけど日本の企業はせこい建物建をレンタル地に建てるだけでしらけさせるばかりなのですが。基本的には39.000円の維持費を安く感じる企業へアイランド自体を構築デザインして納品する方がいけそうですね。事業案件とすれば数百万円でしょうけど。3Dをオンラインで表示、ウォークスルーできるプラットフォームとしては普及率が世界でナンバーワンであると考えて利用法を考えてみました。
- マンションや住宅のモデルルームを3Dでアイランドに精密につくり、プロモする。実際のモデルルームを作らないで行うと話題性が高まりやすい。
- ホテルの施設や周辺の雰囲気を説明する為のプラットフォームとしての利用。
- 新車、中古車の展示場としての利用。実際の販売しているものと完全にリンクしていると面白い。
- アニメ番組のプロモーション。巨大ロボットや基地を作り、テレビ番組と連動させる。パスワードで特定エリアでムービー鑑賞などのイベント。
- ミュージシャンのバーチャルツアー。初日をセカンドライフで開始する。来場者だけが楽しめる千秋楽興行としても面白い。現在ではシステム上ミニライブが限界。実際のライブとの連動も可能。ファイナルファンタジーX2の様な現実の物理法則を無視した幻想的なライブ演出も期待できる。
- 美術館をそのまま再現。金沢21世紀美術館は作りやすい。まるでSL風の建物みたいから。
- 楽天の様な商品の大量販売には向かない。不特定多数の商品をSLで扱うことには合理性が無い。リンデンドル(LS内のバーチャル通貨、換金可能)で現物販売に乗り出すことは話題性があるので短期的には面白い。
- 結婚相談所。イベントの開催やリアルな自分のアバターも作るサポート。
- 葬儀所、お墓。昔、私がこれを某会社のWEBデザイナーとして作ったときに提案して却下されたネタ。オンライン墓参りでお坊さんにお布施をリンデンドルで支払う時代が来る?神社を作って初詣やお払いをビジネスにするというのもある。
- 映画館やテレビ局。現在はストリーミングはあまり早くないので若干苦しいかも。
- 入場料をリンデンドルで取るシステムがSLにはあるのでそれが今後普及する可能性が高いと見ています。ただし一気に多くの人が同時に存在するのは難しく、お金を払ってまで入場させるにはハードルはかなり高いのが現実です。また私がやりたいビジネスのアイデアは上記に含んでいません。
原価率は平均的な小売業の原価率ほどとなりますが更にアイランドの取得コストを1年で織り込もうとすると原価率が1.5倍程になります。現実的に784uの原価は一ヶ月1000円とみてよいでしょう。またメインランド(リンデンラボ社が販売する土地)所有の土地の販売価格はオークションで決定されますが2007年4月において若干下落傾向にあると言われています。1サーバー1アイランドという仕様上の問題でアイランドの維持費は個人にすれば高すぎます。趣味で誰にも干渉されずに箱庭としてアイランドをいじりたいと考えるとすると
一ヶ月5000円前後でしょう。アイランドを水路を設けて、敷地的に干渉していないデザインとして10分割程にして
贅沢に使うというのも面白そうです。39.000円÷9=(月額維持費原価)4.333円を9人に貸すという薄利なやり方の方が気楽かも知れません。アイランドを分割してミニアイランドを作るという方法です。距離さえ離れていればあまり隣は気になりませんし、水路を公共スペースにすれば
自分の家の周りのウォーターフロントが乱開発されて景観がおかしくなることは避けられるからです。個人向けのリゾート開発というプチ高級スペース貸しや
借地権ビジネス、分譲ビジネスもわかりやすいのでは無いかと思われます。私はこのプランでSLに参入することにしました。その予約案内ページを作りましたのでご覧ください。特に不動産業をSLで行いたいわけではなく研究目的も含んでいますので借り手が規定数になったらスタートするので、気長に待てる方専用プランです。土地の取得原価に対しての利益を今回の募集では殆ど求めませんが支払いは半年分を一括払いでお願いいたします。私の様にある程度の大きさの区画を誰にも気兼ねなく開発してみたいと考えている方はいると感じてますがいかがでしょうか?
地名を有名にすることで付加価値を持たせるというのもありますので、アイランドの知名度で貸しやすくなるかもしれません。しかしこれは将来的には有名な企業がレンタルビジネスに乗り出した時には圧倒されてしまう可能性があります。アイランドを連結し、広大な商圏をセンス良く便利にデベロップする等もありえるでしょう。 またGoogle社の動きも気になります。リンデンラボを買収するのではないかとも言われていますが若干企業の文化が違うようにも感じます。http://www.activeworlds.com/ もしくは現在まだ知名度の無いメタバース企業を買収するかも知れません。(ここだけの話ActiveWorldsは誰もいないけど動作めっちゃ軽いです)GoogleEarthとリンクさせて自分の家を世界中好きな場所に持てたりするのは面白いでしょうし、企業は実際に存在する店舗とリンクしたサービスを提供したくなることでしょう。もしくはセカンドライフのサーチエンジンをGoogleにくっつけるというだけかも知れませんが。PS3でリリース予定のHOMEはもっとわかりやすいものにしてくるでしょう。どんな新しいオンラインゲームでも結局慣れてくると単に仲間とチャットしたりするだけになってしまうという現実も考えなくてはなりません。
メタバースという技術そのものはオンラインゲームで培われてきたもので歴史も古く、競合企業が突如現れる可能性は十分あります。そのうちSLもメタバース空間を提供する一プロバイダになっている可能性もあります。メタバースの概念は現在のインターネットで出来うることの集大成的な意味もあり、昔パソコンを始めてネットにつないでWorldChatJを毎晩うろついていた私とすればぜひとも成長してもらいたいのですが......。技術は進んでも人間の思考というものはそれ程進化していないというのも少し感じます。結局のところ結論はどうなの?と言われても出せるような段階でもありませんが私はSLを研究している現段階では不動産業以外で参入し、そのあとデベロッパーになる方が有利だと感じています。
2007/04/20(金)
今年になって全くここを更新していないことに気づきました。新年の挨拶も書かずにそのまま四月になっていた次第です。春だというのに世間では凄惨な事件がいくつも起きています。能登の地震も被災地の方々を陰ながら応援しています。もちろん、金沢も揺れましたが最近では余震は収まってきています。
新しいインターネットビジネスの場となるのか?と仕事の合間を見て研究中の「メタバース」Second Life(セカンドライフ)なのですが私がはじめてパソコン通信やインターネットに繋いだ時の様なインパクトを正直感じませんでした。既にMMOと呼ばれるオンラインゲームをいくつか遊んだこともあり、オンライン、オフライン版ともにシム・ピープルで遊んでいたことがあるのでそれ程斬新に感じられないのです。自分自身のキャラクターをいじったり着替えたり出来てお金さえ払えば土地も持てるし、家も持てるというのは自由度の面で言えばWWWに似たものも感じます。
私が大人になりすぎて感受性が鈍っているともいえますが今の仕様では大手企業や大学等の研究機関までが参入し、研究するに値するバーチャル社会になれるかどうかは疑問です。ワールドチャットJをインターネット接続してスグに遊んだ私とすれば待望のバーチャルワールドなのですがあまりに先に経済ありきで語られることが多くちょっと辟易しています。ロボットになったり、空を飛んで移動したりすることが当たり前のバーチャルワールドは現実社会の置き換えをイメージするにはあまりに自由すぎます。
不動産業以外のビジネスがSecondLifeの中で現実的なビジネスになりにくすぎるというのはバランスが悪くないでしょうか?
「所詮サーバーの中での出来事をオンラインで見せているだけで商売になるわけが無い!」というのではありません。もっと高度なグラフィックがあって、もっとリアルな交通手段、例えばスーパーマンの様に飛ぶのはスグにあきてしまうので船旅をしたり、
セスナ機を飛ばしたりという実際に出来ないけどやってみたかったことを実現する場所としてのコンセプトにしてもらわないと
公園でモビルスーツが踊っていたりするのは個人的には興ざめします。
もちろんアイランドを自分のポリシーで運営すれば良いのでしょうが趣味で遊ぶにはその世界の構築にお金がかかり過ぎますし
結局元を取るには自分も不動産業者として仕事にいそしまなくてはなりません。3D作成ツールがオンライン上にしかないのも困ります。オフラインの3D作成ツールで
ゆっくり凝ったものを作りこみたいという希望に沿う仕様になって欲しいのです。
家やビルを作るには専用ソフトの方が良いでしょうし、乗り物にしてもそうです。そういうビジネス用ツールで利益を出すというのは無いのかとも感じます。
自分のスキルと照らし合わせればレンタルサーバの運営の様に場所貸しをするのも悪くないかと思うのですが
Second Lifeはあまりスタイリッシュで無いので対抗してくる企業でフィーリングの合うところが出てきたら考えるかも知れませんね。
本当にハイスペックなPCと高速な回線速度じゃないと参加できないくらい極端な仕様とホントにリアルな世界にしてしまって時代が追いつくのを待つという方が私には楽しめそうです。
その点、ビジネスとして参加はできないと思いますがPLAYSTATION3でリリースされるHOMEの方が参加者の視点で見たら参加したい雰囲気を持っていそうに見えます。
「今は何か良くわからないけどとりあえずすごいことになったら後で悔しいから参入してみる」というスタンスで様子見している人が多いことでしょう。本当に参入企業が本気だったら小さなスペースに店を出すなんて中途半端なネタとしての取り組みだけするのはおかしいからです。
大あわてて適当に参入している企業こそもうちょい、落ち着いてもらいたいと感じます。
だけど玉石混合の中で自然に洗練されてゆく可能性もありますし、私もSecond Lifeに関連するコンテンツはまず趣味として立ち上げる予定ですので
ご紹介できる時期が来たらまたご報告すると思います。 |